株式会社Ascend代表の堤です。当社は、ERP導入をはじめとするDX推進や企業変革の支援を行っています。外資系コンサルティングファーム出身の独立プロフェッショナル人材を、必要な役割に合わせて0.5人月からアサインし、お客様のチームの一員として実行まで伴走するのが特長です。

ERP導入や刷新を進めるにあたり、外部の支援会社に協力を仰ぐ企業は少なくありません。候補となる会社の多くが「実行支援」を掲げていますが、それがどこまでの関与を指すのかは、契約前の段階では判断しにくいのが実情です。

本記事では、ERP導入の成果を左右する「実行支援の深さ」をどのような物差しで見極めればよいのか、支援する側の視点から整理します。

ERP導入の外部委託で、契約前に見えにくいもの

まず前提として、「実行支援」という言葉には業界共通の定義がありません。戦略立案までを指す会社もあれば、現場のオペレーション変更まで含める会社もあり、同じ看板でも中身の粒度は異なります。

料金の考え方も見えにくいポイントです。生成AIの普及によって、調査や資料作成にかかる時間は大幅に短くなりました。しかし、その効率化が料金に反映されているとは限りません。コンサルティングの料金は、多くの場合「何人のコンサルタントを何か月配置するか」という体制をもとに決まります。そのため、支払っている費用が成果に対するものなのか、人員の稼働に対するものなのかが分かりにくく、契約前に費用対効果を見極めるのは簡単ではないのです。

こうした差は、プロジェクトが動き出してから表面化する傾向があります。ERP導入の途中では、計画時には見えなかった対応が急に必要になることがあります。たとえば、テストで想定していなかった業務パターンが見つかる、ベンダーとの仕様のすり合わせが長引く、新しい業務フローについて現場部門からの問い合わせが集中する、といった場面です。

ところが、まとまった予算を前提とする支援では、追加の依頼をするにも稟議や見積調整に一定の期間がかかります。そのため、時間の限られた局面では自社で対応する判断になりがちです。

また、支援会社とベンダー、発注企業の間には、役割が明確に定まっていない業務があります。ベンダーコントロールや社内調整は、その境界線上に位置しやすい業務です。成果物の質も、実際にアサインされた担当者の経験に左右される部分が大きいものです。結果として、ERP導入の担当者ご自身が役割の隙間を埋める場面が生まれやすくなります。

ERP支援の深さを測る二つの軸

では、支援の深さはどう見極めればよいのでしょうか。私たちは「どこまで引き受けるか」と「どこまで現場に入り込むか」という二つの軸で捉えています。

提言型・具現化型・社員代替型という三類型

同じ「実行支援」でも、その中身は大きく三つの段階に分かれます。

提言型は、提案や提言を通じて経営や事業の方針をつくる従来型のコンサルティングです。成果物は戦略そのもので、実際に動かすのは発注企業側になります。具現化型は、戦略を描いて終わりにせず、ERP導入による業務改善や新規事業の立ち上げといった施策を形にする段階まで踏み込みます。ここまでを担う会社が「総合ファーム」と呼ばれるようになりました。

社員代替型はさらに一歩進み、本来は発注企業の社員が担うはずの調整業務までを引き受けます。パートナー探索や窓口対応、ベンダー選定とマネジメント、完成までの面倒見がこれにあたります。

先に触れた境界線上の業務を誰が担うのかは、支援がこの三類型のどこに位置するかで大きく変わります。

会議室だけでなく、実務の現場まで入れるか

もう一つの軸が「現場」です。多くのコンサルティング会社が「現場に入る」と言うとき、その場所は実のところ、クライアントの会議室や企画室、情報システム部門であることが少なくありません。担当者と議論を重ねて報告資料や検討資料をまとめる、いわゆる常駐の多くもここで行われます。

一方、事業会社の方々が「現場」と呼ぶのは、工場や顧客と接する店頭、製品を納める取引先、商品が並ぶ店舗といった、実際に業務が行われている場所です。ERP導入でいえば、購買や在庫管理の実務が日々回っている場所がこれにあたります。実際の作業の流れやイレギュラーな対応、担当者が抱える細かな困りごとは、こうした実務の現場に足を運んで初めて把握できるものです。

会議室で設計した構想と、実務の現場で得た一次情報を、どこまで往復させられるか。このつなぎ方が、支援の深さを決定づけます。

ERP導入の成果は「提案の質×実行度」で決まる

支援の深さは、感覚的な良し悪しの話ではありません。最終的な成果は、提案の質と実行度という二つの変数の掛け算で決まります。

提案の完成度が100点でも、現場へのフィット度が50%にとどまれば、成果は50点です。一方、提案としては80点でも、現場に寄り添って実行度を80%まで高められれば、成果は64点に達します。提案の質だけを追求しても、実行度が伴わなければ成果は頭打ちになるのです。

ただ、現場レベルまで深く入り込む支援は、その価値を数値や論理で説明しにくい領域でもあります。インパクトの大きい論点を優先せざるを得ない料金体系のもとでは、現場に根ざした細かな業務は支援の対象から外れやすくなります。その結果、提案の質を高める投資に比べて、実行度を高める投資は後回しにされがちです。

もっとも、この評価のあり方自体が変わりつつあります。施策が半年後や一年後に現場に根づき、成果として現れたかどうかで支援を評価する視点が広がってきました。この視点に立てば、これまで「現場に入りすぎてコストバランスが悪い」と見なされてきた動きも、力の入れどころとして正しかったと評価し直される可能性があります。

ただし、現場の意向をどこまで汲み、どこは根本的に変えるために譲らないかに一律の答えはありません。大きな変革であれば、実行度が多少低くても最終的なインパクトが上回る場合もあります。提案の質と実行度のどちらに重心を置くかは、案件の性質に応じて都度判断することが大切です。

AI時代にも代替されにくいERP支援の領域

生成AIの普及によって、コンサルティング支援の一部は確実に代替されていきます。ただし、代替されやすい仕事とされにくい仕事の間には、はっきりとした違いがあります。ここでは、コンサルタントの仕事を大きく三つに分けて考えてみます。

一つ目は、市場調査や資料作成、論点整理など、情報を幅広く集めて素早く整理する仕事です。これまで若手コンサルタントが担ってきた領域で、生成AIが最も得意とする部分でもあります。

二つ目は、クライアントの会議室に常駐し、担当者から情報を受け取って社内向けの資料にまとめる仕事です。情報の整理そのものが価値の中心であるため、事業会社側でAI活用が進めば、社内で対応できる範囲が広がっていきます。

三つ目は、工場や店舗、取引先といった実務の現場に足を運び、関係を築きながら一次情報をつかむ仕事です。人との関係づくりや、その場の状況を見ての判断は、情報処理とは性質が異なります。生成AIが代わりに担える範囲の外側にある仕事です。

前章で述べた「実行度」を支えているのは、まさにこの三つ目の仕事です。AIの活用が広がるほど、ERP導入の成果を左右する領域は、人が深く入り込む部分に集約されていくと考えています。

アセンドが社員代替型のERP支援を選ぶ理由

こうした考えから、アセンドは実行支援の三類型のうち最も深い社員代替型を採っています。パートナー探索や窓口対応、ベンダー選定とマネジメント、完成までの面倒見を引き受けます。お客様の名刺での活動や、社内メンバーとしての立ち位置にも柔軟に対応することが前提です。

あわせて、会議室や企画室にとどまらず、工場や取引先といった実務の現場まで踏み込むことを重視しています。大手中古販売会社向けの営業変革支援や、製薬企業向けのグローバルERP導入における購買・在庫管理の現場最適化は、いずれも業務の実態に即して進めてきた支援です。

また、フル体制を組むほどではないものの、特定の役割にプロの知見が必要になる局面もあります。そうした局面には、0.5人月からのアサインで、役割や論点に応じた専門性をピンポイントに補強します。人材は、外資系戦略・総合コンサルで実務経験を積んだ方に厳選しています。400名超の独立プロフェッショナル人材から案件ごとに少数精鋭で体制を組み、大手コンサルと同等以上の人材を約6〜7割のコストでご提供しています。

会社の看板ではなく、個人の実務力に投資する。それが私たちの支援の土台です。

まとめ:ERP支援会社を選ぶ前に確かめたい3つの問い

ERP導入の成否は、提案の完成度だけでは決まりません。支援会社を選ぶ際には、次の三つの問いを投げかけてみてください。

  • どこまで引き受けてもらえるのか
  • 会議室だけでなく、実務の現場まで入ってもらえるのか
  • 半年後・一年後の定着をどう捉えているのか

答えが具体的であるほど、契約後の役割分担も描きやすくなるはずです。より詳しい内容は、ホワイトペーパー「DX/ERP担当者が知るべき、社内体制と外部委託の設計術」にまとめていますので、あわせてご覧ください。

資料ダウンロード https://ascendinc-dx.com/request/erp/